ベアリング


ワンウェイクラッチベアリングとは?仕組みと軸受内蔵のメリットを解説

ワンウェイクラッチの仕組みと使い方
ワンウェイクラッチは、その名の通り一方向のみ動力を伝達する機械要素部品です。その中でも「ワンウェイクラッチベアリング」はワンウェイクラッチとベアリングが一体化した構造を持つタイプを指します。つまり、ワンウェイクラッチの一種でありながら、軸受機能も兼ね備えているのが特徴です。本記事では、ワンウェイクラッチベアリングの仕組みや、なぜワンウェイクラッチに軸受が内蔵されているのかといった技術的なポイントを、わかりやすく解説します。

ワンウェイクラッチベアリングの仕組みとTOK製品の特徴

ワンウェイクラッチの仕組み
ワンウェイクラッチとワンウェイクラッチベアリングは基本的に同じ原理で動作します。ワンウェイクラッチは、ニードルピンやカムを用いて一方向にロックする機構を持ちます。一方、ワンウェイクラッチベアリングは、ワンウェイクラッチの機構にベアリング機能を組み合わせることで、一方向のみに動力を伝達するだけでなく、軸の支持も同時に実現します。

TOKのワンウェイクラッチも、この「ワンウェイクラッチベアリング」のカテゴリーに含まれます。TOK製のワンウェイクラッチに内蔵されているベアリングは、樹脂製のすべり軸受けを使用しているため、相手軸に対して傷つけにくく、滑らかな動作を実現します。さらに、使用条件に合わせボールベアリングを組み合わせて納品することも可能です。これにより、用途に合わせた最適な性能を提供できます。


なぜワンウェイクラッチに軸受けが内蔵されているのか?

ワンウェイクラッチハウジング・エレメント
それでは、ワンウェイクラッチに軸受機能を搭載するとどのようなメリットがあるのでしょうか。例えば、タイミングベルト駆動では、空転してロックする動作の中で、空転方向でもシャフトが回って動力が伝達されてしまうことがあります。具体的には、ベルトがもたらすラジアル負荷が0〜320g程度の場合ではクラッチがロックして空転しますが、それ以上になるとシャフトが一緒に連れ回ってしまい、本来のクラッチ機能を果たさなくなります。このように、ベルトの張力がかかる場合、ベルトの張力によるラジアル荷重がクラッチ部に負荷されることによるロック不具合や、ベルト張力により軸受け部にラジアル荷重がかかるシャフトと軸受け部の摩擦力が大きくなることで、シャフトが連れ回る現象が発生します。

その原因は、樹脂でシャフトを支持しているため摩擦が発生してしまうことにあります。これに対し、ボールベアリングでラジアル荷重を受ける構造にすれば、不要な摩擦がなくなり、ワンウェイクラッチ本来の機能を安定して発揮できます。つまり、ベルトにテンションがかかる場合や、歯車列の中にワンウェイクラッチを組み込む場合でも、ボールベアリングを内蔵したワンウェイクラッチベアリングであれば、不具合なく正しく動作します。なお、そこまで強いラジアル荷重がかからない場合には、樹脂製の滑り軸受でも問題ありません。噛み合うローラーだけで軸受けするよりも、滑り軸受を内蔵している方がシャフトへのダメージが少なく、他部品の摩耗も抑えられます。その結果、クラッチ内部に摩耗粉が溜まりにくく、確実にロック動作を行うことができます。


ワンウェイクラッチベアリングとは?仕組みと軸受内蔵のメリットを解説 まとめ

今回は、ワンウェイクラッチとワンウェイクラッチベアリングの違いや仕組み、軸受機能を内蔵する理由についてご説明いたしました。ワンウェイクラッチに軸受が内蔵されていると、摩擦が発生しづらくなり、ワンウェイクラッチの機能を問題なく発揮することが出来ます。TOKのワンウェイクラッチはベアリングが内蔵されている為、確実にロック動作を行うことができます。
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