トルクリミッター


トルクリミッターの使い方|過負荷防止機構

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トルクリミッターはシャフトと出力側部品の間に組み込み、一定のトルクを超えた時の出力部の部品の過負荷を防止するために使用する、過負荷防止機構です。搬送装置や測定器等に過負荷がかかると、内部部品がスリップすることで、故障を防ぎ、使用者の安全性を守ることが出来ます。その他にもトルクリミッターを使用することによってメリットを得られる活用方法は多くあります。

今回の記事では、過負荷防止機構であるトルクリミッターの連結方法や、その活用方法についてご紹介します。



トルクリミッターの使い方|連結方法

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まず、トルクリミッターを連結させるシャフトを用意します。このシャフトには、トルクリミッターと連結する為のピンを設ける必要があり、ピンは平行ピン、もしくはスプリングピンを使用します。そして、トルクリミッターの溝部とピンがはまるようにシャフトを挿入し、出力部の部品は、トルクリミッターに設けた凸部と連結します。なお、モーターのシャフトにそのままトルクリミッターと出力部の部品を取り付けてしまうと、トルクリミッターの効果を発揮しない為、シャフトはモーター側と出力部品側で別のシャフトを用意する必要があります。
出力側の負荷がトルクリミッターの設定トルクより小さい場合、トルクリミッター内部がスリップすることなく動力を出力側に伝達します。出力側を手で押さえて過負荷状態にすると、トルクリミッターは内部でスリップして動力を遮断することがわかります。

こちらの動画では、連結手順や実際の動きを確認することが出来ます。

 

トルクリミッターの使い方|活用方法

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トルクリミッターの活用方法としてまず挙げられるのは、搬送装置の過負荷防止です。規定のトルクを上回るとスリップし、ダメージを防止して、高価な装置の故障防止や、装置の寿命を伸ばすことが出来ます。搬送装置に使用されることが多いですが、精度の高い測定器に使用されることもあります。対象物に押し付けると測定子の先端が破壊されてしまう為、規定以上のトルクがかかってしまった際には、スリップしてそれ以上のトルクがかからないようにすることが出来ます。特にマグネットタイプのトルクリミッターは精度が高く、異音なく静かに機能する点も特徴的です。
また、フリーストップヒンジとして活用することもできます。トルクリミッターは一定のトルクに達さなければスリップしない為、設定トルクよりも弱いトルクをかけて動かすことで、任意の角度で止めることができます。


主な使用例

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○分包機
分包機とは、薬を一つ一つ袋詰めし、誤りがないかスキャンして確認するまでの全ての工程を自動で行う機械です。自動で袋詰めした後、患者様に必要な情報を記載したラベルを袋ごとに貼る必要がありますが、袋の表面が凸凹なのでラベルを上手く貼り付けることが出来ていませんでした。しかし、幅広いトルクリミッターのトルクラインナップからその分包機の仕様に適したトルクリミッターを選択し、搭載することで、ラベル貼り付けの問題を解消することが出来ます。
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○電動ドライバー
電動ドライバーにトルクリミッターを搭載することで、対象物に負担をかけずにネジ締めをすることができます。
トルクリミッターが無い場合、ネジ締め後もモーターのトルクをネジに伝えつづけることで破損してしまいます。しかし、トルクリミッターが搭載されていると、過剰なトルクが発生してもスリップが起きる為、モーターのトルクが過剰にネジに伝えることがなく、取り付けることができます。
こちらからgif動画で動きをご確認頂けます。
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○金銭機器
ATMをはじめとした金銭機器にも使用されています。トルクリミッターが搭載されていると、モーターが紙幣を巻き取る時に、巻き取られる側のローラーが回り過ぎず、紙幣がピンと張られ、たわまなくなります。巻き取る側であるモーターのトルクとトルクリミッターのトルクとのバランスが重要なのですが、特にマグネットタイプのトルクリミッターは精度が高く、トルクラインナップも豊富な為、モーターの強さに適したものを選択することが出来ます。

トルクリミッターの使い方|過負荷防止機構 まとめ

トルクリミッターを使用すれば、モーターに過負荷防止機能がない場合でも、後付けで過負荷防止機能を付加することが出来ます。モーターの基盤を小さくしたい場合に効果的です。またモーターに限らず、フリーストップヒンジにも使用できるといった無限の可能性を秘めております。
必要なトルクに合わせてトルクリミッターを選定する必要がありますが、最適なトルクリミッターが不明な場合は、
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