ワンウェイクラッチ | 株式会社TOK

ベアリング


ワンウェイクラッチの仕組みと使い方

ワンウェイクラッチの仕組みと使い方
ワンウェイクラッチとは、ワンウェイの「一方向」と、クラッチの「掴む」という意味の通り、一方向のみ動力を伝達する機械要素部品です。ギヤやプーリーにワンウェイクラッチを内蔵させることで一方向の動力伝達をさせるだけでなく、ワンウェイクラッチを固定して使えば挿入したシャフトの逆回転防止機構としても使うことが出来ます。
本記事は、ワンウェイクラッチの基礎として、弊社製のワンウェイクラッチの構造と一般的な使い方を紹介しています。初めてワンウェイクラッチを使う方の参考になれば幸いです。


目次
ワンウェイクラッチの仕組み
TOKワンウェイクラッチエレメントの特長
ワンウェイクラッチの使い方
ワンウェイクラッチの仕組みと使い方まとめ

ワンウェイクラッチの仕組み

ワンウェイクラッチの仕組み
TOKのワンウェイクラッチは、アウタースリーブ、リテーナー、ばね、ニードルで構成されています。アウタースリーブの内側が六角形になっているため、シャフトを挿入したときに形成される6カ所の楔状の空間にニードルがあり、ニードルがアウタースリーブとシャフトの間に挟まる方向にシャフトが回転したとき、ロック状態となって動力を伝達させます。逆に、ニードルが挟まらない方向にシャフトを回すと、シャフトの回転はニードルを介してアウタースリーブに伝わらないため、シャフトは動力を伝達することなく空転します。これが弊社のワンウェイクラッチの基本的な仕組みです。
便宜上、シャフトを回転させたときのクラッチの挙動を説明しましたが、当然ながらワンウェイクラッチを回転させてシャフトへ動力を伝えることも可能です。

TOKワンウェイクラッチエレメントの特長

TOKのワンウェイクラッチは、ロックの応答性が良く、シャフトの適合性が高く、シャフトへのダメージが少ないことが特長です。
ロックの応答性とは、シャフトをロック方向に回転させたときのロックのしやすさのことです。ロック応答性の指標はバックラッシュと称された、空転状態からロック状態に切り替わるときの角度で数値化されたものが一般的で、TOKワンウェイクラッチのバックラッシュはロックと空転を100万回繰り返しても2.5°以内を維持します。ワンウェイクラッチのロック応答性を良くするには、ニードルが常にアウタースリーブとシャフトに接した状態にすることが好ましく、この状態を維持するために金属製のばねがニードルを押しています。
シャフトへの適合性とは、シャフトの外径公差を広く設定出来ることを指します。いわゆる“シェル型”と言われる他社製のワンウェイクラッチは、シャフト外径公差をh7レベルにすることが一般的ですが、TOKのワンウェイクラッチは、シャフト外径公差がh9レベルで使用可能なので、シェル型ワンウェイクラッチでロックしなかったシャフト外径でもロックが可能です。例えば、外径6mmのシャフトの場合は外径5.97mmでもロックするということです。これは、アウタースリーブ内側を六角形として、ニードルが挟まる領域を広く設計することによって実現しています。
ワンウェイクラッチに挿入したシャフトは、樹脂製のリテーナーが滑り軸受の機能を果たしてシャフトへのダメージを抑制するため、金属同士の摺動でよくある「きしみ音」や「焼き付き」が発生しない構造になっています。
TOKのワンウェイクラッチは、一瞥するとプラスチックのみで構成されているように見えますが、ロックに関わる主要部品は金属製です。OA機器や金銭機器に最適な仕様ですが、ワンウェイクラッチに許容を超えたトルクがかかると、アウタースリーブに割れやニードル圧痕が発生して故障しますので、許容ロックトルク以下でご使用頂くことが肝要です。


ワンウェイクラッチの使い方

ワンウェイクラッチハウジング・エレメント
ワンウェイクラッチは、エレメントをハウジングに組み入れることによって機能します。ギヤ形状にすると、ギヤ列に組み込むことによって一方向のみ動力を伝達出来るようになります。プーリ形状は、EPDMやウレタンなどのゴムを巻いて、ゴムに接触した紙を一方向にのみ搬送し、詰まったときはクラッチが空転して紙を引き抜けるように出来ます。カムの場合、シャフトの逆転防止機構として役立ちます。
ワンウェイクラッチ単体では動力を伝えることは出来ませんが、ギヤ、プーリー、カム、レバーなどの様々な形状の動力を伝えるハウジングと組み合わせて使用します。


TOKワンウェイクラッチの使い方の特長
TOKでは、大きく分けて2種類のワンウェイクラッチをご提供しています。

一体型ワンウェイクラッチ

一体型ワンウェイクラッチ

ハウジングとワンウェイクラッチが一体になってそのまま使用できるワンウェイクラッチのことを指します。ワンウェイクラッチのみの提供ではなく、樹脂の特性を熟知したTOKが最適なハウジング設計と成形、組立を行うことで、ハウジング込みの性能保証が出来ます。

クラッチエレメント単体

クラッチエレメント単体
TOKでは、ワンウェイクラッチのみ(ハウジングなし)の提供が可能なワンウェイクラッチを「クラッチエレメント単体」と称します。ハウジングの成形と組立を御自身で行いたい場合に適しています。

ワンウェイクラッチの仕組みと使い方まとめ

いかがでしたでしょうか。世の中のワンウェイクラッチは様々なロック機構がありますが、TOKのワンウェイクラッチがなぜ応答性が良く、シャフト外径公差が広めに設定可能で、シャフトにも優しい構造であるかがお分かり頂けたと思います。TOKワンウェイクラッチのページから最適な商品を選定頂けますが、特注の高トルク設計も承っておりますので、標準仕様ではご要望に合わない場合には是非弊社にお問い合わせください。
なお、ワンウェイクラッチの性能を十分に発揮するには、シャフト仕様も重要なファクターとなります。参考資料(
ワンウェイクラッチに使用するシャフト仕様について)も是非ご覧ください。
ページ先頭へ戻る